湾岸ワーママ日記

フルタイム共働き夫婦&息子の日常

『働く女子と罪悪感』

ビジネスインサイダーの総括編集長、AERAの元編集長の浜田敬子さんの『働く女子と罪悪感』を読んだので、簡単に感想を。

(予想外に繁忙期が早く来ており、簡単にしか感想が書けず……)

 

まずは共感した点から。

 

第2章 女性初は得か損か 「喉元過ぎれば体制側」のパラグラフから。

当事者である間は理不尽な「下積み」 業務におかしさを感じていても、喉元を過ぎたら忘れしまう、あるいは「自分だってその時期を乗り越えたんだから、 後輩や新入社員も乗り越えるべき」と主張する問題。

これは日本企業あるあるだと思うし、 保活まわりにもあるあるだな、と感じます。

私は新入社員がほとんど入らない部署で働いていた期間が長く、いつまでたっても職場の一番下っ端で(また「気が利く」ことを求められる若手女子で)、「下積み」 業務は自分の手元から離れていかないのに新しい仕事はどんどん増える、という昭和の日本企業あるあるスパイラルに陥っていました。

女性の先輩に相談しても「でもね、みんなそうやってきたの(困ったような笑顔)」と言われ、(いやいやいやいや!!! 次々と新入社員が入っていた時代と今の環境違いますよね!?!? )と、内心憤りながら、もうこの人には相談しない、 と諦めたことも多々。

 

「下積み」を全否定するつもりはありませんが(所謂「雑巾がけ」が必要な部分もあると思います)、「みんなそうやってきたの」ロジックは既に通用しなくなっている、 というのは心がけておきたいですね。

 

第3章 女性に管理職は向いているか、

ここは組織人として頷く部分が多くありました。

上に行くには「男組」に入る必要がある、 タバコ部屋や飲み会で重要なことが決められていく等、少なくなってきたとはいえ、まだまだあるあるだと思います。(タバコ部屋、今はないですが、 入社当初はタバコ部屋に上司を探しによく行っていました)

 

社内の横のネットワークを構築する、という点は納得で、私もここは社内でワーキングペアレンツをゆるーくつなげるような ネットワークができないか、試行錯誤しているところです。

 

また管理職の醍醐味に関して、浜田さんはこう表現されています

 

副編集長の仕事は想像以上に面白かった。

自分で記事を書いていた頃は、どんなに頑張っても1週間に1本、大きい特集であれば2週に1本、巻頭特集を書くのが限界。

だが、副編集長という立場であれば、自分が考えた企画、 面白いと思った企画、それを数人の編集部員やフリーライターに動いてもらって次々と形にしていける。

そして、その規格の反響が大きかったり、 売り上げが伸びたりした時は、その結果を一緒に手がけた編集部員とともに喜べる。

 

ご自分の経験に即した、分かりやすい醍醐味の表現!

ひとりでできないことを、他のメンバーの力を借りて実現する。この章の後半で述べられる「共感型上司」 にもつながってくることだと感じました。

 

第4章 ワーママと罪悪感、ここは共感した点と、 そうでない点がありました。

「時間評価」と「過剰配慮」、これは昭和の日本企業あるあるで、 頷きすぎて首がもげそうになった部分です。

 

ここで重要なのは「大丈夫か」という発言だ。「無理じゃないか」とは言わないのだ。一見、配慮しているように見える発言。本人に打診をする前から、彼女たちの可能性を狭めてしまう“過剰な配慮”は「使えない」思想の形を変えたものだ。「使えない」ではなく、「使えるように」どうすればいいのか、 真剣に向き合おうとしない上司や職場に、やる気もあって能力もある出産後の女性記者たちは絶望して去ってしまう。

 

中野円佳さんの『育休世代のジレンマ』を思い出しました。(中野さん好きすぎて、すぐ『育休世代のジレンマ』 を思い浮かべるマン)

 

いつでも出張できる/いつでも残業できる(多くの場合)男性に最適化された職場で働く制約社員の苦悩は、 ワーキングペアレンツあるあるですね。

私は幸い、今の職場では労働時間ではなく、 アウトプットで評価いただけているのでなんとか仕事を続けられていますが、 これも他の職場に異動するとそうはいかないだろうな、 と不安になることも多々。

 

しかし、時間給とワーママの相性って悪いですよね。ワーママと裁量労働制、 というテーマがもう少し日の目を浴びてもいいのかな、 と私は考えていますが、昨今の社会情勢を見ると、 このテーマはしばらく深められそうになく、むしろ一歩後退、 という感じですね。

 

一方で、均等法世代が与えるプレッシャーという辺りは、 世代間のギャップを強く感じました。

ウートピの記事も読みましたが、やっぱり私も「 均等法世代のワーママの働き方はできない」という鈴木さん・海野さん側に共感してしまいます。

 

浜田さんはご実家からご両親を呼んで、 ということをされていますが、正直、私はここまではできないです。(だってまだ親も現役!)

できるだけ子どもに時間も手をかけたいし、 でも仕事も諦めたくはない。贅沢、と言われてしまうかもしれませんが、子供も、親も、上司も、職場のメンバーも、そして勿論自分も、誰も犠牲にせず、「普通に」働きたいだけなのです。

 

「わかってもらえると思っている」「制度を整えてくれるものと思っている」ワーママ側にも甘えがあるのでは、というご指摘はごもっとも。正論。

確かに、私自身も交渉&交渉&交渉、 という感じでやっていますが、正論が通じる環境ばかりだといいんですけれどね。 そうならばもっとみんな交渉するよね……(遠い目)

 

ビジネスインサイダーのような新しいメディアでは働く人もワークスタイルも様々でしょうし、どういう取り組みをしているか、朝日新聞AERA時代とは何が違っているのか、その辺りも読みたかったなあ。

 

少し世代間のギャップにモニョっとしたとはいえ、均等法世代の方々が数々の苦難を乗り越えてこられたからこそ私が時間的制約を抱えつつも「普通に」仕事ができる今があるし、世代間の断絶はあるけれども、均等法世代の方々は「共闘」 できる仲間だと思います。

Sisterhood、大事にしていきたいですね。